小児在宅医療は、サービスを提供できる医師や看護師が少しずつ増えてきたことで、それまで長期入院しか選択肢のなかった子どもの新たな選択肢となっています。小児在宅医療の中で、最も医療依存度の高い子どもは人工呼吸管理下にあります。かつて在宅人工呼吸療法は、気管切開を条件としていましたが、1990年代以降はNPPVという、非侵襲的人工呼吸療法が取り入れられています。
NPPVを在宅で使用する通常の適応は、低換気やパルスオキシメーターによる低下などです。小児在宅医療のNPPVの対象となる代表的な疾患は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの慢性呼吸不全に対してだけです。NPPV管理は、気管切開のときより、よりきめ細やかなケアが看護師に求められます。
人工呼吸管理中は、子どもの呼吸状態に異常がないか随時観察しなければいけません。機器関連のトラブルや危険を回避するには、モニターの使用が有効です。酸素飽和度のモニター値が子どもの状態を表す指標となり、それは子どもの命の要というほどに大切なものといえます。値の正常範囲は97から98パーセント以上であり、肺実質疾患を合併していない神経筋疾患であれば95パーセント以上です。
在宅で人工呼吸器を使用している子どもは、災害時など停電時の電気の確保は命に直結します。機種によってはバッテリーの駆動時間が8時間以上などもありますが、停電に備えた外部バッテリーの準備や点検などを心がけることも大切です。